2013年6月5日水曜日

私が世間の人になんと言われているかご存知ですか? それを全て気にしてた ら、生き残れないでしょ? ブロードウェイで大注目の シンディ・ローパー ロ ングインタビュー

ブロードウェイで大注目の
シンディ・ローパー 
ロングインタビュー



2013年
トニー賞ノミネート記者会見に
出席したシンディ・ローパー
2013年5月1日
ニューヨークにて
by Patrick Pacheco
Published: 2013年6月04日


もしブロードウェイがかつて
誰か例えたように
「お金持ちの高校」
だったとしたら
学校で今最も有名な生徒は
シンディ・ローパーと
ハーヴェイ・ファイアスタインだろう。
彼らがコンビを組んだ
「キンキーブーツ」は
大ヒット作となり
ミュージカル作品賞
脚本賞(ファイアスタイン)
作詞・作曲賞(シンディ)など
トニー賞13部門で
ノミネートされた。
6月9日の日曜日に授賞式が
行われるが
シンディ・ローパーが
何らかの賞を受賞するのは
ほぼ間違いなく
ブロードウェイの新人としては
悪くない結果になりそうだ。
「トーチソング・トリロジー」や「ヘアスプレー」といった作品で数多くトニー賞を受賞してきた
ファイアスタインが
このショーを企画したときに
シンディ・ローパーを
起用したのは自然な流れと
いえるだろう。
というのも
「キンキーブーツ」は
2005年に公開された
イギリス映画の舞台版で
自分の中に潜む「女性」性に
気づいた、足のサイズが
大きい男性たちのために
フェティッシュな靴を
製作し始める落ち目の靴工場を
相続したチャーリーが
ドラァグ・クイーンの
ローラとの出会いの中で
次第に変わってゆき
友情を育んでゆくという話だが
グラミー賞も獲得した
ポップス・ソングライター
シンガーのシンディも
40年近くショービジネスの中で活躍しながらも
メインストリームに居座って
ビジネスの成功を求めるより
彼女の曲名
(「Girls Just Want to Have Fun」)に
あるように自分の本当にやりたいことを優先させてきており
そうした彼女自身の
キャラクターにこの作品は
よく合っているからだ。

「彼女はアメリカそのものです。」と
ファイアスタインは述べた。
そして彼の作曲における
新パートナーがいかに
チャレンジ精神が旺盛で
勤勉であるかを語ってくれた。「シンディは仕事を
のんびりやるタイプかと
思っていました。
なので、まずはダンスクラブの
音楽をお願いしたのですが
ところが彼女は
一番難しいことから
とりかかりました。
彼女はガッツがあると思います。まず途中で止めないのです。」

ブロードウェイで
「クレイジーな期間」と呼ばれる今、ARTINFOでは何度か
シンディと話す機会を得た。
この期間中、ノンストップで続くファンドを得る為のパワーランチやガラショー、また記者会見に
現れ、握手をしたり笑顔を振りまいたり、審査に良い影響を与えようと皆が躍起である。
59歳のシンディは受賞確実かと思われるが、彼女はむしろ地に足がついており率直で現実的だ。
ある意味ショービジネスの嘘を
知っているとも
言えるかもしれない。

記者:
ハーヴェイ・ファイアスタイン
から作曲する依頼がきた時
何か躊躇することが
ありましたか?

シンディ:
全く躊躇はありませんでした。
古いフィリップスのステレオで
母にせがんで買ってもらった
ブロードウェイのレコードを
聴いて歌を学んだくらいですから。
例えばリチャード・バートン(「キャメロット」のアーサー王)や、レックス・ハリソン(「マイ・フェア・レディ」の
ヒギンズ教授)などの異なった
キャラクターを歌って
私は育ってきました。
私は孤独でしたから
想像の中で何でも作り上げていました。
そしてそれは
なかなか良かったと自分では
思います。
だから(仕事を受けた時は)
5歳の時に戻ったように
感じました。

記者:
ブロードウェイの
古典的ミュージカルはしばしば
現実離れしていることが
あります。
しかしあなたのスタイルはもっと現実に根ざしているように見受けれます。
何かそこに葛藤は
ありませんでしたか?

シンディ:
笑。いや、そうでもないです。
そういう昔からのミュージカルも私にとっては「リアル」でした。私はいつもどちらかに偏ることはなく、片足を全然違うスタイルに突っ込んできました。
それで今までかなり成功してきたと思っています。
相容れないかもしれない
両極端なものを一つにまとめてしまうという、クレイジーな考えに至るときが作曲している時にはあります。
しかし最近は私の作品の中で
「ミュージカル」の要素が
ある場合、常にそのアイデアが
どこから来たものなのか
忠実にまた「本物」であろうと
してきました。
私の作る曲は、いつも始まりと
中盤、そして終わりのパートがあります。
今回のミュージカルの作曲に関しては、いつもより更に努力を要しました。
特定のキャラクターの為の歌で
あり、また彼らのジレンマを表現したかったからです。
ローラには全く困ることは
ありませんでした。
とても素敵なドラァグ・クイーンですしね!
今までの人生の中で、彼女たちのような存在はかなり身近でした。私もその一人とも言えるかもしれません。
ただチャーリーは難しかったです。
彼は優柔不断ですし。
自分自身に芯となるものを作る
必要があるような人です。
そして父ではなく、彼自身で作り上げられるものがあると気づいた時に、やっと強さを得ることができたのです。
それは父親の作った靴では
もはやないのです。

記者:
このミュージカルは、偉大な父を持ったチャーリーとローラの関係性が主軸になっています。あなたのお父さんはいかがですか?

シンディ:
私は父が大好きです。
私は父の子分みたいなものだったので、何もかもチェックしていました。
姉とどちらが父のスリッパを
もらうか、または父のパイプを
もらうか、喧嘩したことも
あります。
私は両親の離婚を止めさめる為
父を説得しようとしました。
「今お父さんは自分が何をしているのか分かってないんだと思う。私が言いたいのは、ただ一つ。
置いていかないで欲しい。」
でも両親は喧嘩ばかりで
あまり良い状況ではありませんでした。
一体誰が何が正しいと知っているのか、とにかく私はどうしたら
良いか分かりませんでした。
まるで父は心を失ってしまったようだったのです。

記者:
そこが「心を失ってしまった人たち」への共感を持つ理由ですか?

シンディ:
まあとにかく、私はそういう環境にいました。
悲しいことがたくさん起こりました、正直なところ、私よりずっと才能に恵まれた人たちがいつも周りにいて、そういう人たちが私に「人生に不運なことばかり起こるように仕向けられている気がする。そうじゃない?」と言ったりします。
でもそれは、私も同じでした。
しかしもしそこで諦めたら、もうそこで終わりです。
私はいつも
「オッケー。今どういう状況に
あるのか?とにかく頑張ること。状況に対して立ち向かうこと。
そうすれば、いずれ変わるかもしれない。」と考えるようにしていました。
これは本当にシシリー島の
ことわざなのか分からないけれど、私の祖母も言っていました。「登り続ければ上がってゆくことができるけど、一度落ちれば落ちてゆくだけ。」でも後ろ向きに登るのはどうかな、とおばあちゃんに聞いてみたいです。
悲しみや怒りから、別の目的の「何か」を創り出すこともできるのですから。

記者:
先ほどあなたも
ドラァグ・クイーンだと
仰ってましたが、そこから
「シンディ・ローパー」という
イメージが来ているのですか?

シンディ:
いえいえ。
私は絵を描くだけで、それだけです。
つまり、パフォーマンス・アートですね。

記者:
それは自分を守るためですか?

シンディ:
自分を守る?そんなものは必要ないです!ベストを尽くすこと。
どんな誹謗中傷にも負けませんから。
私が世間の人になんと言われているかご存知ですか?
それを全て気にしてたら、生き残れないでしょ?
他のところではどうか知らないけど、私の育ったところでは、最後まで残った者が勝利を得られます。
そういうことにそもそも労力を使いたくたくないのです。
それにこのミュージカルを作り上げる中で出会ったのは、親切な人ばかりでした。
ハーヴェイは様々な問題から
私を守ってくれていました。

記者:
靴に《星月夜》を描いているとどこかで読みました。
それはどうしてでしょうか?

シンディ:
私はゴッホと自分を同一視しています。
彼の描いたもの見て下さい。
彼の作品を見ていると、「色」に魅せられていることが分かります。
私もカラフルなものが大好きです。
私のファーストアルバムも原色を意識的に使いました。
昼間の直射日光のようにね。
3原色は人間にある種の感覚を引き起こします。
だから髪の色も次々と変えているのです。
木の皮みたいな色にはしたくないです。
実を言うと私はかなり普通の女性なのです。
ただ、「普通の女性らしく」いるのは嫌です。
だから、結局「普通」じゃないんですよね。

記者:
昔「クレオとジョーのバラード」で「働く男性がダンシング・クイーンになる」といった曲を書いていますが、今回
「キンキーブーツ」で歌詞を
なぞることはありましたか?

シンディ:
50人のドラァグ・クイーンと
ゲイ・カルチャーについて
取り組んだ経験があり、ある程度どういう世界なのか分かっています。
以前「女性になりたいのだから、『女性らしく』装うのではない。彼らは『男性らしい』気分を味わう為に女装するのだ。」と友達に言われたことがあります。
あのバラードを作ってからその人と話しました。
ローラもドラァグ・クイーンで
あるかないかは重要な問題では
ありません。
皆人間であるという
最も基本的な事実がそこにあります。
そういう意味で、みんな同じなのです。
私達は多かれ少なかれ固定観念にとらわれています。
時には枠にとらわれない発想を
試み、それを信じてみるという
ことも必要だと思います。



ソース BLOUIN ARTINFO

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