2013年10月1日火曜日

8月31日 オーストラリア キャンベラ 彼女は、なぜ泣いたのか? パート3


rockin’on 1994年 3月号
インタビュー 最終稿

★ (笑)で、今作なのですが
オノ・ヨーコにインスパイア
されたというのは?

シン
「そう、三枚目のアルバムの後
私はもう絶対この仕事を
辞めてやるって思ってたの。
映画もやったけど
あの時は惨めな気分でね。
但しあの仕事のお陰で
デヴィッド、
もう一人のデヴィッド
(・ソーントン 現在の夫)と
出会えた訳だけど。
そんな時、ヨーコが
リヴァプールで催し物が
あるんだけど
参加しませんか?って
電話をくれたの。
それで乗り気になったんだけど
自分で音楽の
アレンジをしたいって言ったら
彼女が承諾してくれたので
リヴァプールに行って
10〜12人程のバンドと
仕事をしたの。
私がアレンジしたのよ
それが楽しくてね。
彼女が全部
快く承諾してくれて
時間も、ちゃんと取ってくれて
励ましてくれたわけ。
だから
彼女が私をまた
この道に連れ戻してくれたって
言えるわね。
彼等と
"ワーキング・クラス・ヒーロー"を
演奏して
これで『あぁ、私にも出来るんだわ。
今迄、何考えてたんだろう。』って
ハッとしたの(笑)。
それと
彼女の本
『グレープフルーツ』にインスパイアされて
"HAT FULL OF STARS"の曲も
書いたのよ。
19歳の時に書いたものなの
美しい夜空の星を見ながらね。」

★ あなたのアルバムを
振り返って見ると
常にハッピーで
前向きでありながら
以前にも増して包括的で
より愛情に満ちた世界が
感じられるのですが
年齢も関係してるんでしょうか?

シン
「年齢?40歳半って事が?(笑)」

★ いや (笑)
まぁ、まるで一人の女性の
成長過程を見ている様な
感じなんですけど。

シン
「アーティストとしては
もちろんそうよ。
アーティストとして成長しなければ
どうしようもないでしょ?
成長しなければ
私の存在の意味なんて
ないでしょ?
私は常に成長していたいし
80歳になっても何か凄い事を
やっていたいと思うわ。(笑)」

★ 多くのファンは
あなたの生き方や姿勢に
共感を覚えていると思うのですが。

シン
「私の生き方って
どういう意味で?」

★ あなたの優しさ、強さ
そしてキュートなところとか…

シン
「まぁ!キュートなところ?(笑)
『彼女、キュートよね。』って
言われるのよね(笑)」

★ (笑)。
結婚されたと聞きましたが
それで人生観が変わったりしましたか?

シン
「そうねぇ
よりハッピーになれたし
自分が愛されていると感じる様に
なったわね。
これは大切な事よ。
もちろん
良い時も悪い時もある…
例えば
ここ二ヶ月程、彼とは会っていないけど
努力してるわ。
でもね
音楽に結局全部折り込まれていくと思うの。
人生に自分が注ぎ込んだものが
大切なのよ。
自分の出せるもの
与えられるものにオープンな姿勢でいれば
その見かけ良かろうが悪かろうが
そのうち
これだというものに
出来上がっていくのよ。
道が開けてくる。
正直言うと
自分が結婚するとは
思いもしなかったし
結婚なんて
信じてもいなかったのよ。
ただ私は…
あら⁈
お腹が鳴っちゃった!
ゴメンナサイ…(笑)
私と結婚したい人が
いるかどうかは
知りたかったの。
デヴィッドと会って
二週間もしない内に私は
『この人なら楽しい人生が送れる。』って
思ってた。
彼も結婚を考え始めてた。
でも私は不安になったの。
映画俳優は簡単に結婚を決めたりするけど
私はそういう生き方は嫌だったから。
それで一緒に暮らしてみる事にしたんだけど
それで私の考え方も変化した。
彼が私の歌詞を見て
『シンディ、君は詩人だね。』って言ってくれたの。
そんな事言ってくれた人
初めてだったから
ビックリしちゃった(笑)。
そりゃ仕事関係の人は
いろいろ言ってくれるけど
それ以外の人で
そんな事言ってくれるなんてね。
デヴィッドは英文学の学士で…
ねっ!私が全うな英語を
話せる人を
知ってるなんて驚きでしょ?(笑)。
その上、彼は演劇の修士も修めてるから
詩にも、もちろん詳しいわけ。
そんな人から
そんな事を言って貰って
感激したし励まされた。
それが大きなきっかけとなって
それ以来
私は熱心に余計な手を加えないで
素直に自分の気持ちを
書き綴る様になったの。」

★ なるほど。
えー、大変残念なんですが
時間がなくなってしまったので…

シン
「これで大丈夫?
他に訊き残した質問はない?」

★ 山程あるのですが
でもとても楽しかったです。

シン
「そう?
これで私の話を分かって
もらえたかしら?
このアルバムの事を
より分かってもらえたかしら?」

★ はい、どうもありがとうございました。


rockin’on 1994年 3月号
インタビュー
三回に分け掲載したが
如何だったろうか?

アルバム
"HAT FULL OF STARS"や
自分のキャリア、考え方、結婚
希望に満ち
インタビューに応えている姿が
浮かんでくる。

しかしこれ以降
彼女の思い、方向性は
以前の様に
圧倒的には世の中に
受けいられない時代になっていく。
一方、ライバル視されていた
アーティスト達は成功を納め
人気を不動の物とし
シンディは大きく差を
付けられてしまう事になる。

彼女が世間でライバルと
言われていた人達と比べられたり
彼女のキャリアに付いて
何と言われ様が
我々ファンは
我が道を行き貫き通す
そんな彼女が大好きであり
愛し、支持をしている。
我々は誰と比べられ様が
何とも思わないのである。

が、しかし…意外だったのは
その事を、一番気にしていたのは
実は彼女だった。

次回に続く。


2 件のコメント:

  1. 貴重なインタビューの掲載を本当にありがとうございます。
    こうして本人の言葉を聞くと、納得する部分がたくさんあります。
    私は、「HAT FULL OF STARS」よりも「At Last」の方が衝撃で、一度「At Last」でシンディから離れました。
    でも、今回のインタビューを読ませてもらって、今までちゃんと聞いてなかったアルバムも、もう一回聞きなおしてみようと思いました。
    本当にありがとうございます^^

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    1. いつもコメント
      ありがとうございます。
      私もアルバム「At Last」には
      戸惑いました。が
      しかし、DVD At Lastを見て
      素晴らしいと思いました。
      彼女の曲の中でも
      私の個人的な好き嫌いも
      あります。
      昔はあまり気に
      入ってはいなかった曲も
      年月が経つにつれ
      とても好きになる事もあります。
      不思議ですね。
      (^ ^)
      とにかく
      ちゃんと聞いていなかった
      アルバムを聞き直してみて下さい。
      そこに新たな発見が
      あるかもしれませんよ。
      (^-^)/

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